北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の違いや気づきを綴るコラム。第26回は「カナダのながーい夏休みの過ごし方」の話です。

＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝

カナダの夏は暑い。カナダというと北国というイメージがあるからか「真夏でも涼しいんでしょう？」と聞かれることが多々ある。しかし、カナダだって日本と同じく気温が30度超える日がたくさんある。それに湿度だって、日本のそれよりはもちろんカラッとしているが、それでも雨が降る前後にはむっとしたような気候にもなるし、蒸し暑くて寝苦しい夜というのも存在する。

そんなカナダ・モントリオールの夏は通常だとおよそ2ヶ月間ほどに渡って、音楽フェスや演劇フェスといった大小さまざまなイベントが連日開催される。しかし、今回は日本と同じように多くのイベントが中止になっており、「さて、このながーい夏休みをどう過ごそうか？」と、とくに子どもがいる家庭は頭を悩ませている。

そこで例年以上に人気となっているのが、田舎での別荘ステイや巨大な国立公園の中でするキャンプだ。夏の別荘ステイは、何度行ってもほんとうに贅沢な時間だなと感じる最高のアクティビティである。都会の喧騒から逃れて、360度ぐるっと自然に囲まれた別荘で過ごす数週間。朝はのんびり起きてパンやシリアルとフレッシュジュースやコーヒー、フルーツの簡単な食事。午前中は、気温が低めだから森の中をハイキングして、お昼にはホットドッグやハンバーガーをBBQで作って食べる。気温が上がった午後には目の前に広がる湖で泳いだり、ボートに乗ったりして水遊びを楽しむ。夜は室内でゆっくりとディナーとお酒を楽しんで、日暮れとともに焚き火を起こして夜の時間を満喫する。

焚き火の際に、子どもたちが大好きで楽しみにしているのが「マシュマロ焼き」だ。そこら辺に落ちている薪木になりそうな、細めできれいめな小枝に子どもの拳ぐらいの大きなマシュマルをさして、外側をパチパチと炙って食べる。日本の母さんとしては、そのどでかいマシュマロに虫歯の心配をしてしまうが、年に数回、子どもの楽しみだからとグッと小言を我慢して、自分も一緒にもぐもぐと食べている。その後、砂糖たっぷりのマシュマロでシュガーハイを起こした子どもたちはテンション上がりまくりでなかなか寝てはくれないが、まぁそれも旅の一興……だ。

こうした田舎や自然の中にある別荘は、家そのものはなかなかに味わいのあるふる〜い建物が多い。とはいえ掃除はきちんと行き届いているし、子供の頃に外国映画でみたようなまさにビンテージ風のソファーやマット、食器なんかが置いてあったりするので、ほんとうにコージーでノスタルジックな空間で非日常感が楽しめる。

前に一度だけ、別荘ではなく電気のないキャンプ場でリアルキャンプをしたことがある。宿泊場所はとても素敵な木の家だったのだが、トイレは付いておらず森の中に点在されていた。夜中にトイレに起きると、くまの心配をしながら鈴をリンリンと鳴らしてその森の中を数分歩かなければならなく、到着したらしたでねじ巻きみたいな手動電気をクルクルとひねって用を足すという貴重な経験をした。うっかりトイレに長居をしてしまうと、室内が途中で真っ暗になる＆ボットントイレだったので「うーん、泊まるのは2泊が十分かな」と思い、それ以来別荘ステイに落ち着いている。

でも子どもがもう少し大きくなったら、原始的な生活体験をさせるためにも、もう一度リアルキャンプに挑戦してみてもいいかもしれない。最近では日本でもキャンプやグランピングといった夏休みの楽しみ方が増えているようだから、いつかは日本でも行ってみたいなぁと考えている。

＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝

SASAKI

海外移住をきっかけに本格的にライター・編集者となる。英仏話者。人々の生き方や働き方、子育てや教育に興味があり、取材・インタビュー記事が得意。現地では新たな挑戦として、現地企業でマーケティング・カウンセラーも経験し、いつか海外と日本の架け橋となるようなサポートもしてみたいと考えている。