北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の違いや気づきを綴るコラム。

第29回は「子どもがバイリンガルになるための早期教育」の話です。

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年が明けたと思ったら、もうあっという間に2月。

私の住んでいる州は、昨年のクリスマスからロックダウンを開始、1月中旬までの予定が2月上旬まで延長になった。そのため、今も家族や友人たちと会えない日々が続いている。しかし幼稚園や小学校、中学校は開校されていて、例年より遅いスタートだけど、年始からわが子も園へ通っている。

 

実はこの9月から子の園が変わり、少し遠くの場所へ通うようになった。これまでは徒歩数分だった送り迎えが、一気に往復1時間に。つまり、朝と午後で1日2時間を送迎時間に費やしている。実際にやってみると、それはまぁ、想像を絶するしんどさだった。

 

何がそんなにしんどいかというと、「自分の仕事時間やのんびりする時間が単純に2時間減ったこと」と「園が遠いため、早起きをしなければならないこと」だ。なんだかもう、1日中動き回っていて、ひと息つく暇が……欲しい!! という気持ちでいっぱいいっぱいなのである。

 

こうなることはもちろん予想していたが、実際にやってみると思っていたよりも大変だなぁというのが正直な感想。では、なぜそこまでして他の園に移動したのかというと、その園は完全なバイリンガル学校だったという理由がある。

 

カナダの公用語は英語とフランス語で、それゆえにそれぞれの言語をメインに、またはバイリンガルとして学べる園や学校があり、親の母国語やこれまで受けてきた教育機関の言語によって、子の学校を選択することができる。

 

わが家は家庭内で、子とはフランス語と日本語(夫婦間は英語)を話しているので、将来の選択肢を考えると、できれば英語はネイティブ並みに話せるようになってほしいと考えていた。

 

編入前の子の英語レベルは、簡単な英会話であればなんとなく理解して単語は発するが、ほぼ話すことはできないという状態。そこから園を変わり、週3日は丸1日英語でのクラス、週2日はフランス語のクラスという割合の生活を送るようになった。

 

担任の先生によると、2週間経った頃から子の英語はメキメキと伸びはじめ、4週間を迎える頃には、先生にも英語で話しをするようになったとのこと。そして、3ヵ月が超えた頃には、ほぼトリリンガルになった。

 

このスピードに、私はかなり驚いた。実際、言語習得には得意不得意があるそうなので、そもそもわが子が早いのか遅いのかはわからない。でも接続詞を使った、2文以上をつなげた文法をなんの違和感もなく発し、会話ができるようになるまでのこのスピード感は、脳が若いからこそなんだろうなと思う。(同時に私は、自分がどれほどの期間を要して、英語やフランス語をそこそこレベルまで習得したのかを考えて、切なくなった……トホホ)

 

日本では子どもの早期バイリンガル教育に対して賛否両論があり、いろいろな意見を耳にする。その中でも「1つの言語をしっかりとマスターしてから、次の言語を学ばないと母国語が疎かになる」というのは、日本人の私が外国で子育てをするうえで、わりとグサっと刺さった意見だった。しかし、2ヵ国語を話す国に移住し、私はそのどちらでもない日本語を話す母親である以上、同時に多言語でコミュニケーションをとることは避けられない。

 

そして、日本に住む両親となんの弊害もなく会話ができるようにとも思っていた。

 

そうした中で、必然的にバイリンガル教育というか、トリリンガル教育をすることになったのだが、実際に言語に関する子の早期教育をしていて思うことは、誤解を恐れずにいうと、賛成派かもと今は感じている。

 

大人が考える以上に子の脳というのは柔軟で、速度に個人差はあれど、そのときどきの環境にわりとすんなりと対応していくように思う。しかも、幼少期にインプットした音や言語は、その後長い間使われなくても脳内に残り、大人になってから再度勉強をする際にも役立つこともあるという。

 

私は専門家ではないので、どちらがベターなのかを断言することはできない。でも少なくとも、私は今の環境はよかったかなと思うのである。

 

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SASAKI

 

海外移住をきっかけに本格的に編集者・ライターになる。取材・インタビュー記事が得意。英仏話者。人々の生き方や働き方、子育て、教育に興味あり。現地企業では新たな挑戦としてマーケティング・カウンセラーも経験し、いつか海外と日本の架け橋となるようなサポートもしてみたいと考えている。