北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の違いや気づきを綴るコラム。

第22回は「夫婦別姓」です。

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最近は日本でも仕事の便宜上などで、「夫婦別姓」を望む人が増えてきているようだが、私が住むカナダ・ケベック州は夫婦別姓が基本となっている。ちなみに、隣のオンタリオ州(トロントなど)は、夫婦別姓も選択可能ではあるが、基本は夫婦同姓といった感じでカナダ全体のシステムというわけではなく、ケベック独自のルールになっている。

 

結婚後、私の名字は親から受け継いだ名のまま変わらなかったので、手続き上の煩わしさは全くなかった。しかし、名字が変わらないというのはなんだかとっても不思議で…「ほんとうに私は結婚したのだろうか?」と、いつまでも独身気分が抜けないでいた。

 

それから数年後に子どもを授かり、はたして子どもの名字はどうするべきなのか、夫の名字か、または私の名字か…と調べたところ、名字は決して両親と同じではなくても良いという情報を得て、少々困惑した。つまり極端な話、夫の姓がスミスで、私がササキだった場合に、子はヤマダでも良い、といった具合だという。うーむ…「その場合、親子の顔が似ていなかったらどうやって判断するのだろうか。親子確認ができるIDや書類を毎度持ち歩かなければならないのか…」と、いろいろ謎は膨らんだ。

 

父親(夫)がカナダ人である以上、私の顔に似ていない(日本人顔ではない)子が産まれてくる可能性はなきにしもあらずで…そうなった場合、私が子と二人っきりで役所や病院を訪れたときに、なんだかとてつもなく面倒なことになりそうな気がして、色々なケースを考えて夫と話し合った。

 

そして考えすぎた結果、「トウマ スミス・ササキ(仮名)」というやたら長い名字を付けてしまった。自分たちで名付けたくせに、特に英語表記のときは長い綴りで「書くのめんどいな…」という事態が起きている。(我が子も将来、そう思うだろう…そしていつかどちらかの名字が端折られるだろう)

 

また、当たり前ではあるが、ケベック州は夫婦別姓ですよ、という事実は日本の皆さまには全く知られていない。そのため帰国時には、少々居心地が悪い思いをしたこともあるし、親戚にまで籍はいれたの?と聞かれる始末。夫ナシでの帰国時には、顔が夫似の子どもを連れた私が、まったくの日本名であるササキと名乗るため、「はて、この子はハーフのはず?日本の名字ということはシングルマザーなのかな?」と忖度されることもあり、場所によってはあえて夫の名字を名乗ることもあった。

 

そんなの誰も気にしてないよ〜というご意見があるのも重々承知しているが、子どもと一緒のときは、子へ対する微妙な対応(父親の話題が出ないなど)はできるだけ避けたいなぁという思いもあり、我が子の名字は夫のものだけで良かったかもしれない、と今更ながらひそかに思っていたりする。結婚時は気軽に考えていた夫婦別姓だが、まさか子の名字にまで影響を及ぼすとは(当たり前だが気づかなかった…!)、色々と思うものがある。

 

ケベックの人達は、職場での呼び名や書類用の正式名などを「その時々によって使い分ける」という離れ業をふつうにしているが、それはそれで違和感を感じる私には少々扱いにくい問題で、やっぱり夫婦同姓のほうがラクだったなぁ〜と思ったりするのである。

 

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SASAKI

 

海外移住をきっかけに本格的にライター・エディターとなる。英仏話者。人々の生き方や働き方、子育てや教育に興味があり、取材・インタビュー記事が得意。現地では新たな挑戦として、現地企業でマーケティング・カウンセラーも経験し、海外と日本の架け橋となるようなサポートもしてみたいと考えている。