北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の違いや気づきを綴るコラム。

第18回目は、「海外で心地よい友達を作る」です。

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ここ一ヶ月でぐっと気温も上がり夏が近づいてきたと感じるカナダ。天気も良いのに最近なんだかやる気がでない。少し気分転換でもしようかと、マイナスイオン溢れる噴水のある公園でこの原稿を書いている。

 

唐突だが「あなたの人生で大切なもの」はなんだろうか。

人生にとって大切なもの。家族、パートナー、友人、仕事、お金、ペット、思い出に結びつくモノ、なにかのコレクション。人によってさまざまなものが思い浮かぶと思う。

 

わたしは昔からミニマリストのような傾向があって、数年間に渡って定住したアパートを引っ越すときも、荷物はスーツケース2個にすべて収まったという経験がある。そんな感じだから、人生で大切なものリストを挙げるとすれば、家族、パートナー、友人、仕事という感じになってくる。

 

そして、その中でとくに重要だなと思うものに「友人」がある。

 

日本にいればそこまで重要と意識しなかったのかもしれない。家族はもちろん、昔から繋がりのある友人や仕事仲間が、半日もあれば会える距離にいて、すでにそこにあるものとして存在している。しかし海外移住をしたことによって、身近で気軽に話せる人が夫、子ども以外ほぼゼロになってしまった。

 

そのため家族以外で話しのできる人=友人は、わたしにとって必要不可欠。移住してからの数年間は精力的に、現在もゆるやかに気の合う友達を探している。

 

これまでも「心地よくいれる気の合う友達」になりそうな素敵な人たちとの出会いは、そこそこあった。しかし、日本ほど定住ということにこだわらないお国柄だからか、さらに好きな土地を求めての引っ越しや転職、自国への帰国などで、日本人・外国人共に、けっこうな数の友人を見送った。そんな背景や私自身が出不精なこともあって、現在はほんの少しの友人がいるのみである。

 

そんな中、日本人や日本語を話す人を、カナダ人の友達が知り合いを通じて紹介してくれることがある。ありがたいことだ。もちろん、共通の話題や価値観、興味をもつ人と友達になれるのであれば、これほど嬉しいことはない。初めの頃はいそいそと出かけていた。しかし不思議なことに、その後友人関係が続いていくような人にはほとんど出会えず、数回会ってなんとなく疎遠になることが多かった。

 

ふむ。言葉の壁はなく、共通の話題もある。価値観もそこそこ似ている。でも気の合う友人関係にはなれない。なぜだろうか。いっときは出不精なうえにマメでもないわたしの性格が災いしているのかと、友人関係を継続するために努力もしてみたが、今度は自分が疲労してしまってだめだった。

 

一概にはいえないが、誤解を恐れずにこの所感を伝えさせていただくと…海外では、日本人といっても、日本で生活している日本人とはなんとなく違いがあり(もしかしたら私もそうなりつつあるのかもしれない…!)、なんというか少しアクが強かったり、超社交的だったりといった性質の人が多く、どちらかというとまったり好きでスローなわたしにはテンポが合わないタイプの人が多かったように思う。

 

およそ8年間の友活を通して、結局は友達を作るときの壁は言語ではないし、同じ国同士の人だからといって気が合うとは限らないんだな、としみじみ思った。これってあるいみ真理なのだろうけど、大人になってからの友達作りという挑戦に妙に焦り、根本を見失っていたのだなと、いまさらながら気づいた次第である。夫と子どもがいればそれでいいじゃないかと思う方もいるかもしれないが、わたしは自分が妻でもなく母でもない「私」として話せる相手=友達がやっぱり必要なのである。

 

<あとがき>

公園で原稿を書き終えてみたが、周りの雑音や空から降ってくる虫などに気がそがれて、なかなか作業に集中することができなかった。やはりわたしには無音の自室が一番あっているのだなと実感。まぁ何事も経験である。

 

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SASAKI

 

2011年の海外移住をきっかけにライター・エディターとなる。英仏話者。人々の生き方や働き方、子育てに興味があり、取材・インタビュー記事が得意。現地では新たな挑戦として、現地企業でマーケティング・カウンセラーも経験し、海外と日本の架け橋となるようなサポートもしてみたいと考えている。