北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の違いや気づきを綴るコラム。第24回は「コロナ騒動で感じた日本と海外の違い」の話です。

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世界中がその動向に注目しているコロナウイルス。ここカナダでも連日さまざまな形で報道されている。私がいまこの記事を書いているのは3月中旬なので、掲載されるころには状況も変わっているかもしれない。とはいえ今回の騒動で、日本と海外の違いを感じたので、とても主観的ではあるけれど、思いを綴ってみたい。

 

日本では、3月からの休校を政府が急遽発表して子どものいる家庭は大混乱になっていた。子を持つ親にとって、この発令はかなりしんどかっただろうと思う。だって学校が休みになっても、親には仕事があるのだ。その間子どもたちはどうするのか?そもそも親が通勤や会社内で感染したら元も子もないのではないか…など腑に落ちない点がたくさんあった。

 

このニュースを見て考えたのは、カナダで同じような事態が起きたらどうなるか?ということだった。もしカナダだったら…きっと多くの企業は、すぐに会社側も自宅勤務や時短などに対応するのではないかと想像した。そう思ったのには2つの理由がある。

 

まずカナダでは、13歳辺りまで子どもが1人で自宅で過ごしたり、外出することが禁止されている。そのため子どもは大人ナシで「お留守番」をすることができない。

 

もう一つ、カナダでは冬時期の大雪やフリージングレインといった、通勤が難しくなったり道路が凍って危険な日には、学校や幼稚園が急遽休みになることがある。少なくとも毎年数回はそういう経験をしているのだが、その際に親たちはいとも簡単に仕事のスケジュールを変更し、対応している。

 

悪天候で教育機関が休みになるときは、前日の夜のタイミングで親へ通知が届く。学校のSNSやニュース、メールなどで「明日の天候により、○○地域は全面休校になります」という連絡が入るのだ。そして親たちは共働きであろうが、シングル親であろうが、すぐに対応できる環境が整っている。つまり、会社側が臨機応変に対応しているということなのだ。

 

このフレキシブルさには、とても驚いた。日本では震災時でさえ、会社を休むことが困難で、ギリギリの状態で人々は働いていたのに、こちらではあっさりと事なきを得ている。

 

こういうことが可能になる背景には、仕事と家庭に対する考え方、価値観の違いが大きく関わっているのではないかなと感じる。海外では、家庭>仕事。日本では、家庭<仕事…といったように。例えばカナダで天災か何かが起こって、会社側が「こんなときですが…会社に来てください!」と言っても、たぶんカナダ人は「いや、家も大変だから。すみませんが今日は休みます」と対応する人が多いのではないかなと思う。だから、会社側は「何かあったら会社を休むことができる」体制を事前に整えているのではないだろうか。

 

日本は、医療もテクノロジーも進んでいて清潔で、いろいろな意味で素晴らしい国。そういう恵まれた国であるのに、今回のコロナ騒動ではちょっと残念だな…なぜ?と思う対応が目についた。コロナがきっかけで、日本におけるさまざまな課題が浮き彫りになったのかもしれないと感じている。

 

私の家族はみんな日本にいる。この何もできない状況をもどかしい。これ以上日本に感染者が増えず、終息へ向かうよう心から願っている。

 

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SASAKI

 

海外移住をきっかけに本格的にライター・編集者となる。英仏話者。人々の生き方や働き方、子育てや教育に興味があり、取材・インタビュー記事が得意。現地では新たな挑戦として、現地企業でマーケティング・カウンセラーも経験し、いつか海外と日本の架け橋となるようなサポートもしてみたいと考えている。