コロナ過のイギリス4月レポート

ワクチン接種対象が42歳以上に、全市民に週2回の無料コロナテスト提供

 

                                                                                                                                           ボッティング大田 朋子

 

3回目ロックダウンの段階的解除の真っ最中で、昨年12月から始まった新型コロナワクチン接種から5か月が経った現在、イギリスでは新型コロナの毎日の新規感染者や入院者数、死者数が劇的に減少していて、長い続いたトンネルの先にようやく光が差し込んでいる。

 

今月始め4月12日にはロックダウン段階的解除の第2ステップだった「小売店や美容院、ジム、室内プール、パブやレストランの屋外飲食」といった営業がようやく再開。4月12日の週はどこに行っても長蛇の列で、「久しぶりのショッピングを楽しんだ」というよりは「列待ちや人盛りに疲れた」という感想が多く聞かれたが、それでも1年以上続く制限続きの日々が少しずつ日常に戻ってきたことを感じ心底ほっとした。

 

4月はクリスマスに次ぐ大きなイベントであるイースターがあったが、イースターの頃には同居人以外でも屋外で6人まで、または屋外で2世帯が集まってもよくなり久しぶりにウォーキング目的以外で友達と会えた。うちの子どもたちもこの春休みは屋外限定とはいえ友達と遊べて本当に楽しそうだった。

 

 

 無料で郵送されるコロナテスト                      30分で結果がわかり便利                              ワクチン接種後貼られるスティッカー

 

・ワクチン接種年齢が40代に

イギリスがコロナ過を抜けつつある一番大きな理由はなんといってもワクチン接種が迅速に順調に進んでいるからだ。4月中旬には45歳から49歳への接種をスタートし、4月26日からはその対象が44歳に下がった。翌日27日には対象年齢がさらに引き下げられ現在(4月28日)では42歳以上がワクチン接種対象者となっている。いよいよ筆者の順番もまわってきて、早速5月と7月にワクチン接種の予約を入れた。

 

・ワクチン会場までの距離が遠い人も

1月にボリスジョンソン首相が「国内の誰にとっても最寄りの予防接種センターまで10マイル(約16キロメートル)という状況を目指す」と宣言したが、筆者の周りを見れば自宅から10マイル以内にワクチンセンターが2つ稼働しているので、その公言は達成されているといえる。

 

けれど、80代や70代が12月にワクチン接種をしたときには車で10分あれば行ける会場でワクチンが接種できたのに対し、接種対象の年齢が50代、40代後半と下がるにつれて自宅から近いワクチン会場の予約が取りにくくなってきている。ワクチン接種予約は予約専用のウェブサイトか電話で行うが、例えば夫が予約したときには近場のワクチン会場だと数か月先まで空きがなく、結局車で1時間かかるワクチンセンターで接種した。

 

ワクチンは2回でセットになっていて1回目の予約時に、11~12週間の間隔を開けて2回目の接種の予約も行う。毎朝7時に予約ウェブサイトが更新されるとの噂があり毎朝予約サイトをチェックして近場のワクチン会場に空きがないかを探し続けている人もいる。筆者も近場のワクチンセンターでは空きがなく自宅から4番目に近いワクチン会場(車で約45分)で予約を入れた。筆者などは順番がきたら早く打ちたいと思っていたので「多少遠くても……」との気持ちが働いたが、車がなかったりワクチン接種に消極的な人だと近くで簡単に接種できないとワクチン接種自体をあきらめてしまうのではないかと懸念する。

 

・気になる副作用

この1ケ月の間に身近な人たちが接種し終えたので副作用に関しても詳しい話を聞くことが多くなった。ちなみにイギリスではワクチンプログラム開始すぐに接種した人たちはファイザー製を打っていたが、3月4月に接種した50代40代はアストロゼネカ製が主流だ。「接種後何の問題もなく過ごしていたけれど夜に寒気がして翌日しんどかった」「軽い頭痛と倦怠感で一日横になっていて翌朝は微熱があった。でもその日の午後には体調は回復した」、「4日ほど経つまでは接種した腕が多少痛んだ」、「接種した日は体が重く一日中寝ていたが翌日から普通だった」などと話を聞くこともあれば、ほとんど副反応はなくいつも通りだった友達もいる。

 

・週2回全市民に無料のコロナテスト

今月のもう一つの大きなステップは、4月9日から全ての市民を対象に「ラテラル・フロー・テスト」と呼ばれる30分で結果が出るコロナ検査が週2回無料で受けられるようになったことだ。

 

今までも無料でコロナテストが提供されていたのでウェブで予約して会場に行けばいつでもコロナテストは受けられたが、筆者のように郊外で大自然に囲まれて生活している者にとっては検査会場に行くことこそが感染リスクを上げ、「念のため」といった薄い動機ではメリットよりも感染リスクが勝ち足を運ぶ気になれなかった。けれど9日から始まったテストではコロナテスト一式が自宅に郵送され家で検査ができるので本当に便利、念のためのテストが自宅ですぐにできるおかげで人と会う怖さがなくなったし、風邪をひきかけたときに「コロナかもしれない」といった無用な心配をしなくてすんでいる。

 

・エンデミック

イギリスでは4月に入って「パンデミックはそろそろ終息しつつある」といった意味の「エンデミック」を迎えたとの声もきかれるようになっている。とはいえまだレストランやパブは外での飲食のみの営業だし、同居人以外とは室内で会えない。次のロックダウンの段階的解除は5月17日で、多くの在英日本人や異国に家族を持つわたしたちが次に気になるのが今はまだ原則禁止されている海外旅行がいつどのように再開されるかだ。

 

「早く安心して安全に故郷にいる家族に会いに行きたい」と願う多くの人にとってその日が一日でも早く訪れることを祈っている。

 


ボッティング大田 朋子 Tomoko Botting-Ota

ライター&プロジェクトプロデューサー

 

アメリカ→ドイツ→インド→メキシコ→アルゼンチン→(数か月ばかりの英国滞在)を経て、2011年秋スペインへ移住。

現在イギリス・カンタベリー在住。

 

メキシコでオーガニック商品の輸出会社立ち上げ+運営。

アルゼンチンのブエノスアイレスでマンガの国際著作権エージェント立ち上げスペイン語出版。

 ⇒プロフィールはこちら https://tomokoota.wordpress.com/about/

 

ブログ https://tomokoota.wordpress.com/