北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の違いや気づきを綴るコラム。

第7回目は、もう書かずにはいられない熱中症の話。「熱中症に関する学校の対応に物申したい」です。

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日本の比ではないにしても今年はカナダも猛暑だ。熱中症による被害もすでに出ている。日本の熱中症についての学校対応を問題視するニュースを最近よく目にするが、これについて日本の親たちはどのように思っているのだろう。

 

私は子どもが小学生の歳になったら、夏は日本の小学校へ数ヶ月通わせたいと思っていた。

日本の学校で学べるモラルやルール、協力をしあうという文化は、人ととしてとても大切なことであるし、それに関して日本はトップレベルだと思っているからだ。しかし、熱中症の問題に関する報道を見ていると、なんだか不安になってきたのである。

 

さまざまなニュースやコメントを読んで、疑問を通り越して憤りを感じた内容がある。

 

・小学校では、通学中や授業中に生徒が勝手に水分を摂ることはできない

・水分OKのところはお茶か水だけで、熱中症に良いとされているスポーツドリンクはNG

・プールの授業では、見学者はプールサイドで待機か校庭で運動を強いられる

・プールに入る前の日焼け止めはNG

・天気の良い日の休み時間は外で遊ぶことを推進されていて、それが評価にも繋がる

 

これは事実なのだろうか?だとしたら信じられない話である。子どもが健やかに成長できる場が学校であるはずなのに、なんだかひどい罰ゲームのように感じてしまうのは私だけだろうか。また、仮にこれらを実行しなかったら、何か学校側に不都合が生じるのだろうか。

あくまでも幼稚園での話だが、カナダでは以下のことが徹底されている。これらのことは小学校でもそんなに大差ないのではないかと思う。

 

・体感温度30度を超えている気温の時は外で遊ばせない

・外遊びに出る際は、その前に必ず日焼け止めを塗る

・トイレもそうだが、喉が乾いて水分を取ることに先生への許可は要らない

・みんなが遊んでいても、気が乗らなければぼーっとしていても寝ていても構わない。ましてやそれがなんらかの評価の対象になるなんてことは一切ない

・親が学校に疑問を抱いたら、それが個人的なことであっても速攻話し合いにでかけ、学校側や先生と話をつける

 

日本には日本の文化があり、先生という立場の人はいつも一目置かれている。この風習が「親 対 先生」だけでなく、「子 対 先生」にも浸透しており、そのために親は抗議しづらいし、子どもは自分の意見を通すことを好まないのだろうと思う。私だって日本で育ったからその気持ちはよくわかる。

 

でも ”何かあってからでは遅いのに” と強く思うのだ。

 

大きな組織がこれまでのルールを変える場合、それなりに時間もかかるだろうが、これだけ熱中症に関する被害がでていて、それは命に関わることなのに、校長の独断と偏見で夏の間だけルールを変えるということはそんなに難しいことなのだろうか。

もし私が日本に居たらどうするだろう。。思い浮かぶ私にできることはこんなことかなと思う。

 

・学校で仲の良い親御さんがいるならすぐに連名で学校側に話し合いに行く

・そんな時間も余裕もないようであれば、自分一人で学校側に話に行く

・その日の気温が30度前後になるようであれば、子どもには「なにか不調を感じたり、無

 理だなと思ったら具合が悪いと言って帰ってきなさい」と伝える

 

意見をすることで、我が子に対する印象や評価が悪くなるかも。。と多少不安になるかもしれない。しかし、熱中症は命に関わる。子どもに万が一のことがあったらと想像したら、一番大切な行動がなんなのかは自ずと答えが出るし、絶対的な自信を持って親の想いを貫いても良いのではないかと思うのだ。

 

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SASAKI 

 

海外移住をきっかけに本格的にライター・エディターとなる。英仏話者。人々の生き方や働き方、子育てに興味があり、取材・インタビュー記事が得意。現地では新たな挑戦として、現地企業でマーケティング・カウンセラーも経験し、海外と日本の架け橋となるようなサポートもしてみたいと考えている。