北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の違いや気づきを綴るコラム。
第4回目は、「ママの出張」についてです。
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海外のママたちは幼子を預けて出かけることにあまり躊躇がない。
カナディアンママたちは産後半年〜1年で職場復帰をし、夫婦二人の時間を過ごすため子どもを預けて夜デートに出かけたりしている。
私はといえば、仕事やデートもしたいけど、幼子を預けてまで自分が楽しむことに少し罪悪感を感じていたので、気持ち半分はぐっと我慢で、時短で保育園に預けてはいても、他は最小限だけ身内に頼るというやりかたで育児をしてきた。
私のこのやり方がこちらの義理家族には理解しがたいようで、「夫婦二人の時間やあなたが楽しむ時間も大切なんだから出かけなさい。」「私たちが面倒を見るのよ、心配いらないでしょ?」と、何度もけしかけられた。それでも煮えきらず、これまでのあいだ1日たりとも子どもなしで夜を過ごしたことはなかった。
そんな私が、初めて子どもを一晩置いて1泊2日の出張にでた。
カナダ企業との仕事だったため、子どもを理由に断ったり日帰りを希望するわけにもいかず、これを機に海外生活者らしいワーキングマザー経験をしてみても良いかもしれないという軽い気持ちでの決定だった。
子どもには出張に出る2週間前くらいから、「出張に出ること」「夜は1日だけママとは眠れないこと」「頑張れたらサプライズのプレゼントがあること」をことあるごとに伝えた。
そのおかげもあってか、出発の数日前には「ママが仕事で夜いないこと」「サプライズのプレゼントをママが買って来ること」を本人から聞かされるまでになっていたので、これで安心だと思っていたのだ。
出張当日、息子の笑顔と共に駅まで見送られ、颯爽と電車に乗り込んだ私はなんと!
出発と同時に泣いてしまったのだ。
そんな自分に驚いた。そして、なんだか滑稽な気持ちにもなったのだ。
現地に着くまでの2時間ちょっと、久しぶりに本でも読んでゆっくり食事でもしようと目論んでいたのに、気持ちが落ち着いたのは到着の30分前。それまでは鼻をぐずぐず鳴らしながら、息子が赤ちゃんだった頃のことを思い出したり、母にメールをして子どもの様子を聞いたり。。(何をやっているのやら 苦笑)
実際、出張中の一人時間や食事や就寝は、独身の頃に戻ったようでそれなりに楽しかった。
だけど、これまでずーっと私の横にちょこんといた彼がいないことに慣れなくて、顔が見たくて仕方がない。自身のブログでも告白しているが、昔の私は結婚も子どもも特に考えていない、仕事大好き人間だったのだ。それなのにこの変わり様。
当の置いて行かれた息子はというと、時間があれば何度も電話をかけてくるママに「げんきー?こっちは楽しいよー!」と言い、拍子抜けするくらいあっさりと電話をガチャ切りする。親はなくとも子は育つとは、こういうことなのかもしれないと思った。
子どもの成長の速さとたくましさを実感した初出張。一人旅好きだった私も、今では子どもが一緒でなければ楽しさが半減するようになってしまったようで、出張はしばらくはいらないかな。。という気持ちになった。
現代では、海外だけでなく日本でも、ワーキングマザーが幼子を預けて仕事や出張をすることはよくある話だと思う。そして、理由がなんであれ、子どもを預けるときにはぜひ罪悪感を持たずに出かけて行ってほしいと思う。
子どもと一緒にいるときにたっぷり愛情を注いで、信頼関係を育んでいればなにも心配はいらない。子どもは、私たちママが思っているよりもたくましく、そして楽しんでその時間を過ごしているのだから。
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SASAKI
海外移住をきっかけに本格的にライター・エディターとなる。英仏話者。人々の生き方や働き方、子育てに興味があり、取材・インタビュー記事が得意。現地では新たな挑戦として、現地企業でマーケティング・カウンセラーも経験し、海外と日本の架け橋となるようなサポートもしてみたいと考えている。