晩婚化が進んでいると言われて久しい日本の女性の平均初婚年齢は29.4歳(2019年)ですが、ある調査によると(*)イギリス女性の平均初婚年齢は30.8歳。
男性の平均初婚年齢を比較すると、イギリスでは32.7歳、日本の男性は31.1歳ですから、イギリスも日本と同じくらい、ひょっとしたらそれ以上に晩婚化が進んでいるといえます。
とはいえ、イギリスでも1971年の平均初婚年齢が22.6歳だったことを考えると、もともと結婚に興味がない国民というのではなく、過去30年間で結婚する年齢が上がってきている、まさに晩婚化傾向が見て取れます。実際70年代と比べると、男性は8歳、女性は10歳も結婚年齢が上がっているのだとか!
とはいえ、イギリス人は結婚することに消極的でそれが晩婚化につながっているかといえば、一概にそうとは言えなさそうです。
あくまでデータ上の話ですが、イギリスでは結婚前にカップルがつきあう期間は平均して約5年。つきあいはじめてから17か月ごろに同棲を始め、同棲してから3年半ほどして結婚に至る傾向があります。つまり、結婚する前に一緒に住み始めるカップルが増えていることから、結婚にいたるまでのプロセスが長くなっている背景があります。晩婚化が進んでいるとはいっても、同棲してから結婚するカップルが増えている点を考慮すると、「ポジティブな晩婚化」ともいえそうです。
同棲期間を経てから結婚という選択肢をとる大人が増えていると意味では、「結婚したい」よりも「パートナーシップを築きたい」と考える人が増えているのかもしれません。
ちなみに、以前は「結婚」はイコール「新しい人生を二人で始める門出」と捉えられていたのが、婚前にまず同棲するカップルが増加していることで、「結婚はパートナーへのコミットメントをお祝いするもの」と結婚の定義も変ってきています。
結婚という形こだわらず、同棲をしたまま結婚をせずに子どもを生んで今に至ると言う「事実婚カップル」も多くいます。事実婚カップルはイギリスではすでに新しい家族の形態と捉えられていて、日本のようにその子どもが婚外子として不利になるのとは違い、事実婚カップルの子どもに不都合や制限はないイギリスの社会制度が事実婚カップルの増加を後押ししている背景もあります。
一方で、イギリスで今問題視されているのは「コミットをしたがらない人」の増加です。異性と関係を持つことに弱腰で、パートナーシップそのものに失望している世代に懸念が寄せられています。
その背景としては、昨今のイギリスの「離婚率の高さ」が挙げられます。離婚率50%の社会では、離婚した両親を見て育ってきた人も多く、パートナーシップそのものに懐疑的な人も少なくありません。また、非正規で仕事をしていて自分一人の生活もままならないのにお金がかかる結婚なんてとても考えられないといった「経済的な理由」も非婚化や晩婚化の大きな要因です。
(*)データ参照:Bridebook.co.uk
ボッティング大田 朋子 Tomoko Botting-Ota
ライター&プロジェクトプロデューサー
アメリカ→ドイツ→インド→メキシコ→アルゼンチン→(数か月ばかりの英国滞在)を経て、2011年秋スペインへ移住。
現在イギリス・カンタベリー在住。
メキシコでオーガニック商品の輸出会社立ち上げ+運営。
アルゼンチンのブエノスアイレスでマンガの国際著作権エージェント立ち上げスペイン語出版。
⇒プロフィールはこちら https://tomokoota.wordpress.com/about/
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