北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の違いや気づきを綴るコラム。
第9回目は、「運動会もマラソン大会も文化祭もない?国カナダ」です。
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夏休みも終わって秋到来。ご存知の方もいると思うが、日本と違ってカナダの新学期は9月から始まる。日本で育った私にとって、秋といえば大好きな文化祭(小学生の頃は演劇や合唱の発表会もあったなぁ。懐かしい)とドキドキする運動会、そして、大嫌いなマラソン大会という思い出がとても強く心に残っている。
大人になってからは誰かと競争してスポーツをすることもなくなったけど、家族や友人、今では子どもとの会話で「小さい頃は足が速かったんだよ〜運動会ではいつも上位だった」と少し自慢したくなる私の過去。
ある日夫ともそんな会話をした。私と同様、夫もスポーツが得意だったと誇らしげに語りだしたのだ。ほぅ、キミも足が速かったのかね。と負けん気をのぞかせながら、「実際にはどれくらい速かったの?クラスで1番とか?」と聞いてみた。すると、「うーん、わかんない」と言う。はて?…わかんないとは?じゃあどうして自分の足が速いと分かるのだろう…夫の返事の意味がわからず不思議な気持ちになった。
そこで、「学校で運動会とかマラソン大会とかあったでしょ?」と聞くと「なにそれ?どういうの?」とキョトンとした顔で返される。そう、どうやらカナダにはそういった学校イベントがない(もしくはあっても珍しい)らしいのだ。驚いた。我が子はまだ小さいから、小学生以上のお子さんがいるママ友にも聞いてみたが、8〜9割方の人はないと言っていた。
カナダには週末に日本語を学ぶ「日本語文化センター」や「日本語補習校」などがあるが、日本人の親がいる子どもはそこに通って、運動会などの日本の行事を体験するのだという。
チーム一丸となって優勝を目指した運動会や、ひいひい苦しみながら自分と戦うマラソン大会。そういったイベントは、今思えば学校で過ごしたとてもエモーショナルな思い出となって心に残っている。その経験ができないなんて、なんというか少しもったいない気がした。
ただ、その一方で競争によって優劣をつけられるのだから、子ども心にもそれなりに嫉妬心や敗北感などを味わったりもするんだろうなと想像する。
万事がいつもポジティブである必要はないし、負けた…と感じ悔しい思いを味わうことは、その後のがんばりや踏ん張りに繋がる ”成長できる” 気持ちではある。しかし、そんな苦しい感情を経験しなくとも「俺は足が速いんだ」と自慢できる、夫が過ごした学校環境もなんだか良いなと思うのである。
海外では何をするにしても自己評価が高い・自信のある人が多い。また確固たる自信はなくても、自分を卑下する人はかなり少ないと感じる。誰かと競争をしなくても、自分はできるんだ!という自信が持てる、そのマインドはどんな環境から育まれるのかにとても興味がある。
海外での子育ては不安や不満がつきまとい色々と大変だなと感じることが多い。しかし、そのヒントを垣間見れるかもしれないと思うと少しわくわくした気持ちにもなれるのだ。我が子には自分の価値に自信が持てる大人になって欲しいなぁと強く思う。
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SASAKI
海外移住をきっかけに本格的にライター・エディターとなる。英仏話者。人々の生き方や働き方、子育てに興味があり、取材・インタビュー記事が得意。現地では新たな挑戦として、現地企業でマーケティング・カウンセラーも経験し、海外と日本の架け橋となるようなサポートもしてみたいと考えている。