北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の 違いや気づきを綴るコラム。
第12回目は、「海外でのクリスマスと年末の過ごし方」です。
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クリスマスと年末、皆さんはどう過ごされましたか。
北米の一般的な会社員の冬休みは、だいたいクリスマス直前の週末から1月1日までの10日 間ほどで、正月三が日というものがない。新年1日は大晦日の寝不足を癒やすためだけにあり、とてもあっさりとしているのだ。
私は今年で海外移住8年目になるが、このあっさりとした正月には未だに慣れないでいる。
去年は地元企業で働いていたため2日早々から仕事が始まり、「あー年明けの特番とか、神 社へお参りとか、初売りとか...恋しい!」と非常に残念な気持ちで出勤したものだ。
さて、海外ではクリスマス休暇はどのように過ごすのか。せっかくなので我が家の過ごし方 をご紹介したい。
家族を持つ人々の12月はかなり忙しい。 お店のクリスマス戦略によるセール合戦は11月末のブラックフライデーから始まる。
この 時期から人々は、毎週末狂ったようにプレゼントを買いまくる。子供がいて、親戚が近くに住んでいれば(*カナダでは車で4-7時間が ”近い” 距離)、家族みんなが集まるので、おじいちゃん・おばあちゃんはこの時期だけで十数万円は使っているのではと想像する。
子どもたちは両親それぞれの祖父母から、加えて両親・おじさん・おばさん、子ども同士で のプレゼント交換など、本当にたくさんのプレゼントをもらう。日本の核家族で育った私 は、クリスマスプレゼントといえば両親からのプレゼント(サンタさんから)のみだったの で、そのプレゼントはとても特別に感じたものだが、これだけたくさんのプレゼントをもらうと、一つ一つのプレゼントを大切にできないのでは?と少し心配になる。
クリスマスプレゼントは、こちらの家族からするととても大切な、言わば「お年玉」のようなものだから価格設定もだいぶ高めで、できれば良いものを1点買いして大事に使ってほし いと思うのだが、子どもがまだ幼いため何を選んだら良いものかと毎年頭を悩ますのだ。
クリスマス前の週末に、子どもたちはオーナメントやチョコレートなどを本物のもみの木へ飾り付けする。
そして、大人たちはその下へプレゼントを並べていく。クリスマス当日は、午後の早いうちから続々と家族が集まり、ディナーのあとに全員集合してプレゼントを開 封。子どもたちは、包装紙をこれでもか!というくらいビリビリに破いて豪快に開けるのだ が、この開ける行為が一つの楽しみでもあるようで、他の子はそれをわくわくしながら眺めている。
私なんかは、大量のプレゼント購入にこんなにも頭を悩ませる習慣がないため、このプレゼント開封後は「やっと大仕事が終わった...」とホッとした気分になったりする。
こうやってクリスマスを皮切りに家族で過ごす日々が始まり、大晦日までの数日は毎晩家族 で夕食をともにし、大人はワインやお酒を嗜む。毎日美味しいものを飲食し、まったりとし た日々を5日間も続けていると、当然のように身体は重くなってくるのだが、大晦日前日になると突然ジムに駆り出される。
夫家ではこの行事が伝統的に行われており、家族・親戚総 出でスポーツを一緒に楽しむのだ。
この家に嫁いだ当初は、日本人特有のNOと言えない性格だったのでしぶしぶ参加していた のだが、子どもが生まれてからは、「子どもが?」の体で断ったりしたものだ。今年は、我が 子もスポーツ参加できる歳になったため、
夫だけが行ってくれないかと企んでいたりする。
そして大晦日。この日は近所の友人なども誘って、ポットラック形式で夕方辺りから集まりパーティを行う。
料理はフィンガーフードが主で、みんなそれぞれお腹が空いたら少しずつ つまみながら大晦日の夜を過ごす。
私は毎年この日には寿司を巻く。
夕食後は、なんとなくみんなが地下のプレイルームに集まりだし、全員参加でゲームをしたりカラオケ大会をする。
11時からは「ゆく年くる年」のような番組を見ながら、新年のカ ウントダウンをし、シャンパンで乾杯!全員とハグやビスをして、ミラーボールでクラブさ ながらのダンスパーティーへ突入。夜中1時頃にそれぞれが解散しはじめ、クリスマス休暇に幕が降りる。
みんなでワイワイと過ごすこの時期は、特別で楽しい時間だが「あぁ胃持たれすごい!」と いう感想が強すぎて、その後1週間はもうただひっそりと質素に日々を過ごしたいと願って しまうネクラな私なのである。
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SASAKI
海外移住をきっかけに本格的にライター・エディターとなる。英仏話者。人々の生き方や働き方、子育てに興味があり、取材・インタビュー記事が得意。現地では新たな挑戦として、現地企業でマーケティング・カウンセラーも経験し、海外と日本の架け橋となるようなサポートもしてみたいと考えている。