北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の違いや気づきを綴るコラム。
第1回目は、海外での子ども教育についてです。
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子どもの教育は、日本と海外でどちらがベターなのだろう。
我が子を保育園に預ける年齢が近づくに連れて何度もこのことを考えて調べた。
そもそも日本での生き方と海外での生き方や良し悪しの基準は違うので、一長一短はある。
しかし、我が子がより伸びやかにマナーもある人として成長できる環境はどちらなのだろうか。
日本教育の良い点は、しっかりとした規律があって、それを全員がまんべんなく行えるように指導があること。
それから、掃除係や給食係といったみんなと協力して学校内での役割を担うこと。
海外教育の良い点は、必要以上の子ども扱いがなく幼い頃から一人の人として大人が躾けること。
そして、それぞれの個性や考え方を第一に考え尊重してくれるということ。
以前、保育士さんとの会話でこんなことがあった。
子どもを保育園に迎えに行くと、クラスの先生がいつものように息子の1日について軽く話をしてくれる。
「今日はみんなでハンドペイントをしたんですよ?。でもトウマくん、手が汚れるのが嫌なのか、
やりたくないってみんなと一緒にやらなくて(苦笑)」
「そうなんですか。。それでトウマはその間何をやってたんですか?」
「窓のところの縁を道路に見立てて、車を走らせて遊んでいました。(笑)車大好きなんですよね。
まだ小さいし自分の好きなことをするのが一番ですから。」
そう言ってにっこりと微笑む保育士さん。
この話しを聞いたとき私が真っ先に思ったことは、”あらら、みんなと一緒に参加しないと駄目じゃん、トウマ。。。”
でも保育士さんの言葉で気づいたことは、”そうか海外では常にみんなと同じじゃなくてもいいのか”ということ。
子どもが海外の保育園に通い始めて、学校教育は日本が良いのか海外が良いのか?と悩んでいた私は、
このやりとりがきっかけで海外での教育も悪くないかもしれないと思うようになった。
このような ”個人の興味のあること” や “個人のペースに合わせて園生活を送らせる”という方針は、
何人かの保育士さんとの会話の中で頻繁に感じることができた。
例えば、ランチタイムやお遊戯タイム、トイレトレーニングに関してもそうで、”今はこの時間だから、
この歳だからやりましょう!” ではなくて、子供のペースを尊重し、本人がやる気のあるときにやらせる。
興味がないなら無理にはさせない。
大人から注意されるのは、人に迷惑をかけたときや(叩いたり、叫んだり)危険なときだけのようだ。
私も元は、人は人。自分は自分。という考えを持っていて、独身の頃は自分のやりたいことに向かって猛進してきた。
それなのに、こと息子に関しては”みんなと同じように参加したり成長したりしてほしい”と思っていたことに気がついた。
それって矛盾している。
子どもには長所を活かして伸び伸びと育って欲しいと願っているのに、母である私がそのチャンスを狭める考え方をしているのかもしれないと一瞬ヒヤッとしたのだ。
親であれば、子ども対しては誰もが心配性になってしまうし、人に迷惑をかけるような子に育って欲しくないという思いから、いろいろと制限をかけてしまいがちになる。それは仕方のないことだ。
それでもこの”制限”は、最小限であったほうが子どもの成長には良いのではないかと思い始めている。
そして、制限に関するマナーやモラルといった点では、海外より日本の方が多いような気がしている。
この日本独特の制限が海外では必要ない場合が多くあるのだ。
みんな一緒に!という観念がなく個人が重要視される海外は日本よりもおおらかなのだなと感じる。
そうはいっても、子どもを保育園に預けだしてからまだ1年ちょっとだから、今後またどう感じるかはわからない。
だけど、団体生活の中でよりその子らしく自然体でいられるのは、もしかしたら海外の方なのかもしれないと最近は思いはじめている。
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SASAKI
海外移住をきっかけに本格的にライター・エディターとなる。英仏話者。人々の生き方や働き方、子育てに興味があり、取材・インタビュー記事が得意。現地では新たな挑戦として、現地企業でマーケティング・カウンセラーも経験し、海外と日本の架け橋となるようなサポートもしてみたいと考えている。