イギリス発、十人十色の働き方

 

ボッティング大田 朋子(Tomoko Botting-Ota)

 

 

本コラムでは、働く女性にインタビューして仕事・起業のこと、ライフワークバランスのとりかた、リラックス法、時短の工夫といったお話をうかがいます。

 

第7回目は、スペイン・マドリードでテレビ局に勤務されているカルメン・アントンさんに登場して頂きます。不規則な勤務時間を上手く活用されているお話が印象的でした。

 

・部署は24時間体制、七日続けて働いたら次の七日はお休み!?

 

スペインの国営放送局である「テレビション・エスパニョーラ(Televisión Española、以下略してTVE)」で勤務しています。わたしがいる部署ではTVEが扱うすべてのチャンネルの放送をコントロールしています。スペイン国内だけではなくヨーロッパ、アフリカ、アジアなどのインターナショナルの衛星放送チャンネルも24時間体制で放送しています。

 

部署が24時間動いているので、働いているわたしたちも3交代のシフト制で24時間の放送をカバーします。シフトは朝6時半から夕方4時半までの「早朝勤務」、午後2時から夜11時までの「日昼勤務」、夜10時から朝7時までの「深夜勤務」。私の場合は一日の勤務で9時間続けて働き、それを7日間連続して行います。一回の勤務時間が長くてしかも7日間続けて働く代わりに、その後の7日間は連続でお休みできる勤務体系です。

 

マドリードに来る前は地方局に勤務していて朝9時から17時勤務、土日はお休みという「普通の」勤務形態だったので、マドリードのキー局で働くことになったとき、今までと120度代わる不規則な勤務時間になじめるか不安もありました。けれど部署の人がみんな「この働き方は慣れてしまえば最高よ!」と口をそろえて言っていたので、不安と同時に楽しみでもありました。

 

結論を言うと、1ケ月に2回まとまって時間がとれるこの勤務形態は今の自分にとって最高の働き方です。9時5時で土日休みでは週末は雑用をしたら終わっていていつも時間が足りませんでしたが、今はまとまってお休みがとれるのでジムに行ったり買い物に行ったりといった自分の時間がとれます。それに私は夫と小6の娘とマドリードに住んでいますが、両親やすでに独立した息子はスペインの他の地域にいるので、お休みがまとまってとれるおかげで月に数回、数日間彼らに会いにいけます。

 

唯一の泣き所は1ケ月のうち2回、週末を娘と過ごせないことでしょうか。その間娘は主人と一緒に出かけたり、友達と遊んでいます。

 

・夜間勤務だと健康への影響も気になりますが……?

 

わたしもそれが一番の気がかりでした。というのもテレビ局で働き始めてから25年経ちますがマドリードに異動になって深夜勤務を始めたのが6年前、その時すでに40代後半でした。でもやってみると、休日がまとまってとれるおかげでかかえってリフレッシュできている気がします。もちろんメラトニンを飲むなどして体調管理もしています。

 

・家庭と仕事の両立はどうされていますか?

 

早朝勤務のときは夫が娘を学校に送りますし、日中勤務のときは娘のお迎えは夫の担当というように娘の送り迎えは夫婦でシェアしています。

 

食材の買い出しや料理は夫婦ともに気がついた方がします。夫は買い出しや料理といった家庭的なことが好きだし上手なので、家ではその時々にできる方が負担なく担当している感じです。夕食のメニューは娘の給食の献立に合わせてその日に考えます。学校の給食のメニューに、栄養的な視点から理想の朝食と夕食の提案がのっているので参考にします。夫は手間ひまかけて料理するのが好きですが、わたしはテルモミックス(*万能調理器具、日本ではサーミミックスと呼ばれている)を使っています。効率的だしレシピも広げられるし気に入っています。

 

友達たちによく指摘されるのですが、夫も私もずっと動いているタイプで、食後はすぐ片付けるし家事を後にためこまない、なんでもすぐにしてしまう性格なのが幸いしています。まめに掃除しているので、しつこい汚れがたまらない、家事だけにまとまった時間がとられないとでもいいましょうか。

 

 

 

・子育てで思うことはありますか?

 

親はよかれと思って色々しますが、結局は本人が決めていくという当たり前のことを最近実感しています。すでに独立して働いている息子ですが、幼稚園から高校卒業までイギリス式のインターナショナルスクール(ブリティッシュ・スクール)に通わせていました。イギリスの教育を受けて欲しいしネイティブレベルの英語を身につけて世界を舞台に働いてほしいという親としての私の願いでした。でも数々のチャンスがあったにも関わらず、息子は生まれ故郷のバレンシアで働きたい気持ちを人一倍持っていてそれを実践しています。友達とは「地元の公立学校に通わせていたら高い授業料を払わずにすんだね」とか、「世界に通じる英語よりも、バレンシア地方の言葉であるバレンシア語を学ばせた方がよかったかもね」なんて苦笑いしながら話していますが、こういうのは後にならないとわからないですし、この先も何がいつどこで活きるかわからないですよね。今は娘もマドリードでブリティッシュ・スクールに通わせていますが、この判断ものちのち本人がどう活かすか決めていくんでしょうね。わたしは今娘にとって良いと思うできる限りのことをして、あとは見守るしかないです。

 

・今後に思うことはありますか?

 

50代に入ってから定年後の時間が自分事になってきました。スペインでは65歳が定年退職、そう遠くない未来です。わたしが定年する頃娘は年齢的には大学生、どこにいるかしら?わたしは退職後には生まれ故郷のバレンシアに戻るつもりです。マドリードでの毎日の渋滞や混雑がしんどいときもあるのですが、ここにいるのも限られた時間、そう思うとマドリードならではの生活を楽しみたいと思えます。


ボッティング大田 朋子 Tomoko Botting-Ota 

ライター&プロジェクトプロデューサー 

 

アメリカ→ドイツ→インド→メキシコ→アルゼンチン→(数か月ばかりの英国滞在)を経て、2011年秋スペインへ移住。 

現在イギリス・カンタベリー在住。 

 

メキシコでオーガニック商品の輸出会社立ち上げ+運営。 

アルゼンチンのブエノスアイレスでマンガの国際著作権エージェント立ち上げスペイン語出版。 

 ⇒プロフィールはこちら https://tomokoota.wordpress.com/about/ 

 

ブログ https://tomokoota.wordpress.com/